暑さに体を奪われる――
日本の夏には「夏バテ」という言葉が昔からあります。
気温も湿度も高い環境では、
汗で水分とミネラルが失われ、食欲が落ち、
睡眠も浅くなりがちです。
その状態が長引くと、朝起きてもだるさが取れない
「慢性疲労」へと姿を変えます。
頭はぼんやり、背中は丸まり
呼吸も浅く、内臓の働きも低下します。
整体では、この負の連鎖を「自律神経の乱れ」と
「体のゆがみ」の両面からとらえます。
冷房の効いた室内と灼熱の屋外を行き来するたび
血管は急激に縮んだり広がったりし、筋肉は緊張します。
首の付け根から背中にかけての筋肉と
横隔膜が硬くなると深い呼吸が難しくなり
酸素が不足しがちです。
肩甲骨周辺や上部胸椎をやさしくゆるめ
横隔膜をリズミカルに揺らすと胸郭が広がり
自然と呼吸が深くなります。
呼吸が変わるだけで脳への酸素と血流が回復し
だるさは意外なほど軽くなります。
さらに骨盤の前後傾を整えると
下半身への血流が改善し胃腸の動きも活発に。
夏バテで食欲が落ちている方ほど
骨盤周辺は張り詰めています。
股関節をゆるめ骨盤をニュートラルに戻すと
内臓がきれいに収まり、腹部の温度が上がります。
冷たい飲み物で冷え切った胃腸が再び動き出し
「食べると余計に疲れる」という悪循環を断ち切れます。
とはいえ、整体だけで完全に回復するわけではありません。
日常生活で体を酷使する習慣を見直すことが土台です。
冷たい飲料をがぶ飲みする替わりに
常温の麦茶に少量の塩と黒糖を溶かした
自家製経口補水液を携帯しましょう。
麺類やアイスだけに偏らず、
発酵食品や夏野菜で腸内環境を整えると
疲労物質の排出がスムーズになります。
夜は照明を落としスマホを早めに手放して
副交感神経にバトンを渡してください。
ゆったりした呼吸と質の良い睡眠が連携すると
成長ホルモンが分泌され、損傷した細胞が修復されます。
整体後は簡単なセルフケアが鍵です。
こまめな水分補給と
にがりや天然塩でミネラルを補いましょう。
就寝前に仰向けで膝を立て
ゆっくり腹式呼吸を十回。
横隔膜が上下する動きをイメージすると
副交感神経が優位になり、眠りが深まります。
また朝晩の10分散歩はふ
くらはぎのポンプ機能を高め、
日中に溜まった熱と老廃物を流してくれます。
当院では施術後、一人ひとりの生活リズムに合わせた
「モゾモゾ体操」や「四つん這い体操」などの
セルフストレッチ動画をLINEでお送りしています。
やさしく体を動かしながら呼吸と
筋肉の伸び縮みを感じる時間を毎日積み重ねることで
整体の効果は倍増します。
夏の疲労は秋以降の冷えや免疫低下にもつながりやすいため
今のうちに体の芯を温め、
動きやすいしなやかな状態をつくっておきましょう。
最後に忘れがちな心のケア。
ストレスが続くと交感神経が暴走し
体は常に戦闘モードになります。
整体で体をゆるめた後、
深呼吸とともに「今日もよく頑張った」と
自分に声をかけるだけで、心拍と血圧は静かに落ち着きます。
心と体をセットでいたわることが、
慢性疲労を根本から手放す近道です。
「夏バテは我慢するしかない」と感じている方こそ
整体のやさしい刺激で体をリセットしてみてください。
乱れた自律神経と滞った血流が整い始めると
体は驚くほど軽くなります。
そして軽く動ける体は、
次の暑い日も前向きに乗り切るエネルギーを授けてくれます。
夏の終わりを心地よく迎えるために、
早めのケアをおすすめします。
※個人の感想であり、成果や成功を保証するものではありません。





