胸の横あたりやわき腹に、ズキッとした痛み。
深呼吸をすると苦しくなったり、寝返りで痛みが走ったり…。
「骨にヒビが入った?」
「神経かな?」
「病院では異常なしと言われたのに…」
そんな不安を抱えながら、痛みに悩んでいる方は少なくありません。
実は、肋骨の痛みの多くは、骨そのものだけが原因ではないことが多いのです。
ゆっくり読んでいただきながら、少し安心していただければと思います。
■ 肋骨の痛みの多くは「動きの悪さ」から
肋骨は、胸の前だけではなく背中まで広がっている、かごのような骨です。
この肋骨は呼吸に合わせて、わずかに上下に動いています。
ところが、
・姿勢の崩れ
・猫背
・長時間スマホやデスクワーク
・ストレスによる呼吸の浅さ
こうした状態が続くと、肋骨の動きが小さくなり、周囲の筋肉や関節が固まります。
固まった状態で、無理にひねったり、笑ったり、くしゃみをしたりすると、肋骨についている筋や膜(筋膜)に強い負担がかかって痛みが出やすくなるのです。
「骨が痛い」と感じていても、実際には筋肉・筋膜の緊張が原因というケースが多いのです。
■ よくある原因「大きく息を吸えない姿勢」
例えば、デスクワークやスマホで背中が丸まり、胸がつぶれた姿勢が続くと、人は自然と浅い呼吸になります。
浅い呼吸が続くと、肋骨の周囲の筋肉はほとんど動かなくなります。
肋骨を動かしている筋肉はたくさんあります。
・肋間筋
・前鋸筋(わきの下にある筋肉)
・横隔膜
・腹斜筋
これらが固まってくると、「息を吸っただけで痛い」「寝返りでズキッとする」という症状が出やすくなります。
呼吸が浅い=肋骨が動いていない
ということなのです。
■ よく聞く「肋骨のズキッ」が起こる流れ
肋骨周りの筋膜が硬くなる
↓
硬いまま、くしゃみ・笑う・ひねる・寝返り
↓
筋膜が急に引っ張られる
↓
「ビリッ」「ズキッ」と痛む
↓
さらに痛みで動かさなくなる
↓
動きが小さくなり、また痛みが続く…
この悪循環を断ち切るには、肋骨がスムーズに動く環境を整えてあげることが大切です。
つまり、単に押したり揉んだりするのではなく、
姿勢、背骨、肩甲骨、呼吸のバランスを整える必要があります。
■ 整体で整えるポイントは「肋骨だけではない」
当院で行う調整のポイントは、肋骨以外にもあります。
● ① 背骨(特に上部胸椎)
肋骨は背骨にくっついています。
背骨が固まっていると、肋骨は必ず動きづらくなります。
● ② 肩甲骨周り
肋骨と肩甲骨はとても近く、肩甲骨が固いと肋骨も引っ張られます。
● ③ 骨盤の前後バランス
骨盤が前に傾くと胸が反り返り、
逆に後ろに傾くと猫背になり、どちらも呼吸を浅くします。
● ④ 横隔膜(みぞおちの奥にある呼吸の要)
ここがゆるむと深く呼吸でき、肋骨の動きが自然に広がります。
やさしい調整で、肋骨まわりが「勝手に動く」状態をつくることで、
筋肉や筋膜に力を入れなくても、呼吸が自然と深くなり、痛みが軽くなっていきます。
■ 日常でできる簡単セルフケア
痛みに響かない範囲でできる、やさしいケアをご紹介します。
● ① 胸をそっと開くだけ
背すじを伸ばさなくて大丈夫。
軽く胸を前へ開き、鼻から小さく息を吸います。
これだけで肋骨が少し動きます。
● ② 痛くない深呼吸をゆっくり
「深く吸うぞ!」と力まないこと。
ふわっと吸って、少し長めに息を吐きます。
● ③ イスに座る時は“坐骨”に座る
お尻の下のゴリッとした骨に体重を乗せて座ると、自然に胸がつぶれにくくなります。
※痛みが強い時は、無理に伸ばしたりひねったりしないでください。
■ こんな症状が続く方はご相談ください
・咳やくしゃみで肋骨周りが痛む
・わき腹がズキッとする
・呼吸が浅い
・胸を開くと痛む
・寝返りや起き上がりがつらい
・病院で異常なしと言われたけれど痛い
どれか一つでも当てはまる場合、
肋骨の動きの悪さがある可能性があります。
やさしく整えて、深い呼吸ができる体になると、
肋骨の痛みだけでなく、肩こりや背中の張りも同時に軽くなる方が多いです。
■ 最後に
肋骨の痛みは不安になりやすい症状ですが、
原因が分かり、少しずつ動くようになると、
自然に痛みが落ち着いていくことが多いです。
「骨が折れているのでは?」
「内臓の病気?」
そんな不安を抱えたまま我慢せず、安心できる場で、
やさしく体を整えていきましょう。
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